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「あー、シュン君みたいな男の人いないかなー」
「出た、結月(ゆづき)のシュン君信仰」
智佳子が私を見て、またか、と鼻で笑う。
シュン君とは、私が中学校の時から愛読している少女漫画に登場する25歳のイケメン御曹司。
学生の時に夢見ていたずいぶん年上の理想の彼と、来年私は同い年になる。
「結月さー、ちょっとくらい現実見なよ。
先月もう24になったじゃない。
いくらなんでも漫画の中の王子様なんて」
「何よ、“ズル恋”のコウジにハマり過ぎの美春には言われたくないし」
「私は、ちゃんと現実の恋してるもの」
「ええっ!!」
私と智佳子はテーブルに一緒に身を乗り出す。
それぞれの飲み物に入っていた氷が、カランと小気味よい音を立てた。
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