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「シン、ご飯ですわよ! 早く起きなさいっ!」
「ねぇちゃん……今日は日曜じゃん!? ……後5分だけ……」
俺は2度寝しようと布団を深く被った。それを手馴れた手付きで、ねぇちゃんは無理やり布団を奪い取ったのだ。どこか機嫌が悪いような、そんな怒鳴り声で、
「駄目ですわよ! 今日は、アキラさんとのデートですの♪ 邪魔する様であれば……排除しますわよ?」
冗談で言っている訳ではない ドスの効いた声。昔はこうではなかったのだけど、ねぇちゃんに彼氏ができてからと言うものの……。
「ねぇちゃん!? お、落ち着いて!!」
そう、こう言う時は素直に聞き入れた方が得だ。焦った俺は、飛び起きる様にベッドから降りる事となった。最悪な目覚め方だ。ふと、姉ではなく、兄の方が楽だったのでは、なんて現実逃避気味な考えが浮かぶ。面倒臭い。
「分かりましたら、さっさとご飯食べて、遊びにいきなさいなっ!」
俺を追い出そうとするこの人は、ねぇちゃんの空下 世羽(ソラシタ ヨハネ)。伏線でもない伏線を立てたのだけど、俺には無口で無愛想な兄なんていない。この口五月蝿くなってしまった姉だけの姉弟である。
そして、そんな俺は弟の空下 進(ソラシタ シン)。後は、父さんと母さんの4人家族。どうって事のない話なのだけど、所謂、どこにでもある家族なのだ。
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