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考えて欲しい。これは朝、昼、夜……合わせてなのだ。豪勢な食事は望めない。ああ、そうでもないか。台所を見ると、ねぇちゃんの作った朝食が置いてあった。トーストにハムエッグ。添えてあるレタスはオマケ。なんだかんだと ねぇちゃんはシッカリ者なのだ。
これで朝食費は浮いた事にもなる。2食分で済むのだから1食に掛けられるのは千円。夕食はご馳走だな。冷たい、温かいけど冷たいご馳走だけど、な。
そんな事を考えながら食べた食事でも、うん、美味しく頂いた。満足した俺は、机に箸を置いてご馳走様。食べ終わった食器をシンクに置いて出掛ける準備をする事にした。
「ねぇちゃん、先行くね」
未だお洒落に没頭する ねぇちゃんを横目に、俺は玄関へと向かう。昔はあそこまでお洒落をしなかったのだけど、やはり彼氏ができると女性は変わるものなのかもしれない。
「ちゃんと鍵持ちましたか?」
そんな声が奥から聞えてきたのでポケットをまさぐる。うん、持っていない。下駄箱に合いカギが置いてあるのだ。持っている訳がない。
危うく閉め出されるところだった、と俺はカギをポケットに突っ込み、準備完了。準備と言っても、手櫛では直らない髪型はそのまま。
無造作ヘアーと言うやつだと言い張りたい。小学6年生の俺は、別に外見を気にする事はないのだ。そんな俺は「うん。そんじゃ、いってきまーす」と元気良く返事。
こうして、俺の一日が始まるのだった。
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