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『――うん、いいよ』
苦闘の末に決心したシン。電話をしてみると即答だった。別に電話にでなくてもよかったのだが、それでも応答があっては仕方がない。シンから電話を掛けてしまったのだ、断れるはずもなく。
「やっぱ、お前だけは暇人なのな」
『どう言う事さっ! ウチはこれでも忙しいんだかんねっ。今だって友達来てるんだよ』
そう受話器から聞えてきた。聞き間違いではないだろう。友達がきている、それは最悪の状況と言えたのだ。類は友を呼ぶ、と ことわざがあるように、やはり似たり寄ったりの友がクルスの周りに集まるのだ。
全てではないにしても、クルスには碌な友達は居ない、とシンは決め付けていた。そんなシンは、聞かなかった事にして「じゃ、いいや」と告げて電話を切ろうとする。
『ちょーと待ったっ! 今回のは見ものだよ? 見逃したら後悔するよ?』
「お前な、覚えてねーのかよ? 前はUFO呼ぼうとして、何も来なかったの覚えてるか? つか、鼻息荒いし」
受話器から「フゥーフゥー」と鼻息が聴こえてくる。それほどクルスが興奮しているのだろう。それが堪らなく不安でしかたがないのだった。
『シンは何も解ってないね? 今度のは古本屋さんで見つけた“呪いの書”がポイントだよっ!』
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