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あの日ころんに助けられ、傷が癒えた黒羽はころんの元を発ち、近くの山の中腹にある鴉の里へと帰っていった。
久しぶりの空、久しぶりの故郷。短いようでとても長い一週間だった。
やがて里の門の篝火が見えると、黒羽は里の入り口へと降り立った。
「黒羽!黒羽じゃねぇか!お前今まで何処に…こうしちゃいられねぇ、黒羽、お前真っ直ぐ長老様の所へ行け。ご両親には伝えておくから!」
里の門番は行方知れずだった同胞の帰還に喜び、黒羽の両親の元へと飛んでいった。
黒羽は言われた通りに長老の元へ向かう為に翼を広げた。
道中黒羽を見かけた者は皆、黒羽が帰ってきた、と騒ぎ立てた。おかげで里中が黒羽の話で持ちきりだった。
黒羽は長老の住む邸宅前に降り立つと、人間の姿になり歩みを進め、入り口の女官に言伝てを頼んだ。
黒羽はすぐに迎え入れられ、両親も呼ばれた。
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