第九章

6/7
11199人が本棚に入れています
本棚に追加
/2488ページ
「……っ一ノ瀬……」 「?」 真っ直ぐに見つめてくる旭。 土方の彼女を掴む手に、力がこもった。 「土方さーん?」 目をぱちくりさせる旭は、小動物を思わせる。 「~っ」 ――何だ……?胸が苦しい……? きゅうっと胸を締め付けられるような感覚。 ……でも、不思議と不快ではない。 「土方さんっ?無視ー?」 旭はムッと唇を尖らせて、もう片方の手を土方の眼前で振る。 だが、土方は旭の唇に釘付けになっていた。 紅くて柔らかそうで……甘そうな唇。 ――口付け、してぇ…… 目の前の手も捕まえて、土方は旭に顔を寄せていく。 「本当、どしたの?」 「……黙って、目ぇ閉じてろ」 旭は素直に瞳を閉じた……。 「土方さん!居ますか!?」
/2488ページ

最初のコメントを投稿しよう!