第四十章

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――――――――― 土方の部屋。 旭は結局ここで寝る事となり、たまに寝言を言いながら眠っている。 「土方はん」 文机に向かっていた土方に、山崎の声が届いた。 「……どうだった?」 土方は筆を置くと、身体ごと山崎に向き直る。 寝ている旭を気遣って声量を落とす様は、なんとも微笑ましい。 「聞くまでもないやろ。クロや」 山崎は土方にぺいっと紙切れを押し付けた。 多少反抗的な態度なのは、旭を医務室に持ち帰れなかったからである。 「そうか…。ご苦労」 紙を見ると、それは破かれた文の一部分だった。 たった一部分。されど一部分。 紙切れには、尊皇攘夷派との繋がりを示す内容がつらつらと書いてあった。
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