第二十七章

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ぎこちなく藤堂が振り向くと…。 「総司だーっ」 「うん。アサ、ちょっと待っててね。今悪い虫ケラ退治するから」 「?」 沖田が、いた。 てか、もしかしなくても虫ケラって俺!? 「っいだだだだだだ!」 動揺する藤堂の頭に、激痛が走る。 沖田が握り潰す勢いで手に力を込めたからだ。 「平助忘れてない?君、稽古の時間なんだけど。平助が来ないと僕が休めないんだよねー」 「………」 …やばい。すっかり忘れてた…。 「忘れてたって顔してるよ?」 「ででででででっ!総司ごめんっ!」 更に力が強まり、もがく藤堂。 「ごめんで済んだら浪士組は要らないでしょ」 抵抗も虚しく、藤堂は沖田に頭を掴まれたまま連行されていく。 「仲良しだなぁ…。…あっ、とんぼ!」 旭の関心は、物干し竿にとまるとんぼへと移っていった。
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