第四十章

12/14
前へ
/2488ページ
次へ
ほとんど四面楚歌な状況に、昴の顔が歪む。 旭はただただ呆然としていた。 「お前は新撰組に要らねぇ。すぐにここを出ていけ」 土方の鋭い瞳が、昴を縛り付ける。 呼吸すら許されぬような感覚に背筋が凍った。 「…と、言いてぇんだがな。 旭が動けねぇのにお前を追い出せば、トヨタさんに負担がかかる」 昴の喉から外した刀を、カチンと納める土方。 「今回は…減給だけだ。運が良かったな」 嘲笑うように言うと、話は終わりだと退室を促す。 あまりに軽い処断に狼狽えながら、昴は急いで部屋を去っていった。 去り際に旭と合った目は憎悪に満ちていて…。 旭は、初めて昴に恐怖を抱く。 「…旭、医務室戻ろか」 「……あ、うんっ」 山崎は自然な流れで旭を抱き抱え、出ていこうとする、が。 「おい。寝るのくれぇ此処でも問題ねぇだろが」 土方がそれを阻止した。
/2488ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11217人が本棚に入れています
本棚に追加