第四十章

14/14
前へ
/2488ページ
次へ
近藤一人が局長となり、以前よりは安定性を持った新撰組。 これで紛れ込んだ間者を一掃すれば、より理想的な組織となる。 そういった訳で、山崎を含む監察方が隊士達を洗っていたのだ。 「御倉と荒木田はクロか」 紙切れを弄りながら、土方は頭を働かせる。 すぐに始末するのか。 あえて泳がせるのか。 「どないするん?」 「まだだ。見張りはつけとけ。……他に怪しいのがいんだろ」 白でも黒でもない、灰色の奴等。 楠小十郎と、 ………昴。 疑わしいが、尻尾だけは出さない二人。 昴が減給のみで済んだのはこれが理由。 間者をみすみす逃がすほど、新撰組は甘くない。 「粛清は彼奴等が白黒ハッキリしてからだな」 「承知。…にしても、あの女が間者なんて間抜け過ぎんか?」 昴が直情型なのは、今回の旭の一件で火を見るよりも明らか。 派手な行動、自滅行為。 間者には不向きにも程がある。 「分かんねぇぞ。現に証拠だけは掴めてないんだからな」 冷笑を浮かべる土方は、恐ろしいが誰より頼もしい…山崎は改めてそう感じた。
/2488ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11217人が本棚に入れています
本棚に追加