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「……………あ、そっか」
ポカンとした表情の後、なるほど……と呟く旭。
「まさか……自分が消える、とまでは考えてなかったのか……?熱弁してたのはお前だぞ!?」
「いやぁ……あはは……!」
図星をつかれた旭は、ひきつった笑いを浮かべる。
客観的に考えすぎて、自分のことはすっ飛ばしていたのだ。
こいつ……やっぱりただの馬鹿だな。
そう思う一方で、旭がいつもの彼女に戻った事に安堵する。
「お前は自分が知ってる歴史を、買いかぶりすぎだ。
知ってりゃ万事上手くいく訳じゃねんだよ。
……それにな、先の事を知っていようがいまいが関係ない。
壬生浪士組は、俺が絶対上まで引き上げてみせる」
「!」
土方の力強い思いが、ひしひしと伝わる。
「ありがと、土方さん。
あー、なんか眠いや……。おやすみぃ……」
「は?おま、せめて着替えてから……寝てやがる……」
自分の疑問に答えを貰った旭。
気が抜けた彼女は酒の力も手伝い、睡魔に身を任せた。
そんな旭を見つめる土方は、彼女の柔らかな頬に優しく触れる。
手から感じる旭の温もり。
胸が痛い程に高鳴っていた。
認めたくない……だが、もう誤魔化しきれない。
――どうやら俺は、こいつを女として見ているらしい……
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