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「……はぁ」
縁側に腰かけて、物思いに耽る男が一人。
庭先を舞う紋白蝶を目で追う様は、さながら恋する乙女のようだ。
「待ってーっ!」
そしてもう一人。
目ではなく身体で蝶を追う本物の乙女も、いた。
「……旭……何やってんの?」
「あれ?愛次郎こそ何やってるのっ?」
―――――――――
佐々木愛次郎と旭は、歓迎会以来友人と呼べる間柄となっていた。
何度か一緒に買い出しにも出ている。
歳も近いので、今現在のように二人で話す事も増えていた。
「気になる女子ができたっ?」
「旭ィ!?声大きいよ!」
藤堂さんに聴かれたら、からかわれるに決まってるんだから……。
と辺りを見回す佐々木。
彼が頬を染めて旭に話した内容は、いわゆる“恋ばな”だった。
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