第九章

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「……はぁ」 縁側に腰かけて、物思いに耽る男が一人。 庭先を舞う紋白蝶を目で追う様は、さながら恋する乙女のようだ。 「待ってーっ!」 そしてもう一人。 目ではなく身体で蝶を追う本物の乙女も、いた。 「……旭……何やってんの?」 「あれ?愛次郎こそ何やってるのっ?」 ――――――――― 佐々木愛次郎と旭は、歓迎会以来友人と呼べる間柄となっていた。 何度か一緒に買い出しにも出ている。 歳も近いので、今現在のように二人で話す事も増えていた。 「気になる女子ができたっ?」 「旭ィ!?声大きいよ!」 藤堂さんに聴かれたら、からかわれるに決まってるんだから……。 と辺りを見回す佐々木。 彼が頬を染めて旭に話した内容は、いわゆる“恋ばな”だった。
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