第九章

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佐伯又三郎。 佐々木愛次郎とあぐり。 ……芹沢鴨。 ぐるぐると考え出しそうな頭を左右に振って、旭はゆっくり瞬きした。 「土方さん、駆け落ちってどう思う?」 ………。 「ぶはっ!」 「わぁっ!どうしたの!?」 熱くて渋い茶を啜っていた土方は、思わず吹き出してしまう。 ――お前のせいだろうがっ! 土方は噎せながら、心の中で旭に突っ込んだ。 つい最近、意識していると自覚した女の駆け落ち発言。 威力は尋常ではない。 「大丈夫?」 土方の口許を拭う旭。 「ッ……」 意外な行動に、土方の心の臓が暴れだす。 「土方さんっ?」 無意識に、旭の細い手首を掴んでいた。
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