第十章

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――――――――― 「これが、“春の草 五色までは 覚えけり”やで?」 「へぇー!こんな風に書くんだねぇ」 「そや。旭は物覚えがえぇなぁ。 …豊玉はんも、残り二つくらい覚えられるやろうに」 「てめぇら…何してんだ…?」 部屋に戻った土方が目にしたのは、仲良く何かを読む二人の姿。 「旭がな、コレの中身は知っとるんやけど、文字が読めへんのやって。 せやから、手習いに利用させてもろたわ」 コレ、とは豊玉発句集。 豊玉発句集、とは…土方の秘密。 「~~ふざっけんなァァ!!」 ワォ~ン… 土方の雄叫びに、どこかの犬が遠吠えで応えていた。
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