第十章

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「一ノ瀬…芹沢ん所に挨拶に行くぞ」 発句集の事もあり、土方の機嫌は最高潮に悪い。 「はーい!」 だが、旭にとっては土方の機嫌など何処吹く風。 旭はこの時代の文字を教わって、機嫌が良かった。 「…芹沢に興味を持たれるような事はするな。それから…敬語を使えよ。話の途中で寝るな……あとは…」 芹沢達がいる八木邸へ向かう土方と旭。 注意点だ、と話し始めた土方の口が止まらない。 それほど旭を心配しているのだ。 「…ここだ。 芹沢さん、土方です。先刻お伝えした女中を連れて参りました」 「入れ…」 静かに開かれた障子の奥。 重苦しい威圧感を放つ男こそが、芹沢鴨だった。
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