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「この前から女中として働かせてもらってます。一ノ瀬旭ですっ」
ハキハキと自己紹介した旭。
芹沢は重そうな鉄扇で軽々と自身を扇ぐ。
「…それでは失礼させていただ「一ノ瀬。お前は残れ」
旭を連れて退室しようとした土方の眉間に、一瞬皺が寄った。
「儂はこいつと二人で話したいのだ。…問題なかろう?」
微笑する芹沢に、土方はギリギリと歯を噛み締める。
芹沢の微笑みは、まるで全てを見透かしているようで…。
「…しかし…っ」
反論しようとした土方の袖が、ツン…と引かれた。
「土方さんの大事なアレ、まだ烝さんが持ってるけど…いいの?」
「!………失礼します…」
コソッと告げられた言葉に、土方は瞠若する。
旭が空気を読んで言ったのか、はたまた深くは考えていないのか。
土方には見当もつかなかったが。
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