第十一章

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「―――…それで、今度あぐりちゃんと二人で出掛ける事になったんだよ!」 嬉々として饒舌に語る佐々木。 その隣で、旭は洗濯物を畳んでいる。 「…旭ー…お前、うんとかすんとか言えよ」 「すん!」 呆れ顔で言った佐々木に、即答する旭。 「おっまえ…っ!本当、可愛げねぇなぁ!」 「ぅあ!痛い痛いッ」 佐々木は、旭のこめかみを拳骨でぐりぐりと押す。 「こらこら、女子に乱暴は駄目だろう?佐々木」 「誰?」 思った事が、思わず声に出ていた。 突然現れたのは、優しげな笑みを湛えた男。 「佐伯さん!…旭、この人が佐伯又三郎さん!」 「初めまして。旭さん、でよろしいかな?」
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