第十一章

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「一ノ瀬旭です。初めまして」 佐伯はふわりと笑って、佐々木の隣に腰を下ろした。 「旭さん、悩みがあるなら相談乗るよ?」 佐伯の視線は、明らかに旭の首筋に向いている。 旭の白い肌に紅がよく映えて、目立つ。 「あー、俺も気になる。旭って、斎藤さんと土方副長どっちが好きなんだ?」 土方、斎藤、旭の三角関係の噂。 隊士達にしてみれば、真相は闇の中だ。 佐々木と佐伯は、痕をつけた人物が旭の相方だと考えた。 「?二人共大好きだよ?」 「や、そうじゃなくてさー…」 首を傾げる旭に、佐々木は何となく恥ずかしくなる。 「これ、誰につけられたんだい?」 これ、と紅い痕に触れながら、佐伯は尋ねる。 「何かついてる?」 「………いや?何でもないよ…」 佐伯も、これ以上は聞けなかった。
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