27人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
和の国と呼ばれていた時代。
西に東。
北へ南。
それぞれの土地を警備する役人。下から人々の食を支える農民。そして、国を司る帝によりこの国は存在している。
国に脈々と受け継がれる話がある。
鬼隠し、という名のお伽話。
ある日。
国全体が貧しかった時期があった。
飢餓に苦しみ、疫病が増える年。
帝は憂いながらも考えた。
国を豊かにするにはどうすればいいかと。
考えた末、帝は神を召喚することを思いつく。
八百万の神と言われるように、別名『神国』と和の国は呼ばれている。
必要なのは供物だ。
躊躇わず、帝は「子供を地方から集めよ」と公示した。
子は神から授かりし万物。
それを利用しようと考えたのだ。
子供を召集し、彼らは『神児』の名付けられ親と離れて京に暮らすようになる。
読み書き、舞や武芸を無理矢理子供は習わせられた。
賢い子に仕上げるために。
期は熟した。
選ばれたのは、十歳ぐらいの幼げが残る少年。
眼差しは暗く、瞳の輝きが無いに等しかった。
帝は少年を指差し、「その子供を、張り付けにせよ」と皆に命じた。
子供はいけにえ。
供物に過ぎない。
内心、反対論はあったのが官吏達は命令に従った。
抵抗する少年を気絶させ大きな丸太に縛り付け、躊躇いながらも薪に火をつけたのだ。
そして――――…。
● ● ● ●
最初のコメントを投稿しよう!