始まりは北の大地

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遥か彼方まで澄んだ青い空 豊かな大地はサラサラとした雪に覆われ、空気が澄み渡っている。 最北に位置する北の国・カウニス 滑らかで真っ白な城壁は、太陽の光を反射してなまめかしく輝いている。 すらりとした城の外観は、シンプルで、まるで白銀の大地に巨大な蝋燭がそびえ立っているかに見える。 「……」 城の最上階の一室 太陽が顔を覗かせた頃、1人の男がゆっくりと瞼を開ける。 「また早くに目が覚めた…」 男はぽつりと呟くと、半身を起こして背伸びをする。 この男が、この北の国・カウニスの王子 メルロンド・エル・ドルバドーレだった。 緩やかなウェーブのかかった漆黒の髪、白い肌、冬の湖より澄んだ青い瞳 そして男女問わず息を呑むような美しい顔立ち。 体つきはムダのない筋肉が付いていて、身長は180センチくらいだろうか。 しかし、彼は引きこもりだった。 彼の親しいであろう執事でさえも、全く歯が立たない程の。
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