4人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
遥か彼方まで澄んだ青い空
豊かな大地はサラサラとした雪に覆われ、空気が澄み渡っている。
最北に位置する北の国・カウニス
滑らかで真っ白な城壁は、太陽の光を反射してなまめかしく輝いている。
すらりとした城の外観は、シンプルで、まるで白銀の大地に巨大な蝋燭がそびえ立っているかに見える。
「……」
城の最上階の一室
太陽が顔を覗かせた頃、1人の男がゆっくりと瞼を開ける。
「また早くに目が覚めた…」
男はぽつりと呟くと、半身を起こして背伸びをする。
この男が、この北の国・カウニスの王子
メルロンド・エル・ドルバドーレだった。
緩やかなウェーブのかかった漆黒の髪、白い肌、冬の湖より澄んだ青い瞳
そして男女問わず息を呑むような美しい顔立ち。
体つきはムダのない筋肉が付いていて、身長は180センチくらいだろうか。
しかし、彼は引きこもりだった。
彼の親しいであろう執事でさえも、全く歯が立たない程の。
最初のコメントを投稿しよう!