第六十一章 結魂式

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「え、あの……その……」 「………駄目か?」 「いや………そうじゃなくて……本気ですか?」 「本気だ。俺はお前と一生を共にしたい。だから俺と結婚してくれ」 会場は静まりかえっている。 フローラは目をキョロキョロと動かして側に立つ姉であるシャルルを見る。 シャルルは静かに、真っ直ぐにフローラを見た。 その目は物語っている。 これは貴女の人生。受け入れるか否か……貴女が決めなさいと。 フローラは光輝へと向き直る。 光輝は微動だにせず、ただ真っ直ぐにフローラを見つめている。 「ぁ……その……幸せにしてくれますか?」 そして、遂にフローラは言葉を放つ。 顔を真っ赤にして若干俯き、上目使いに光輝を見るフローラはまさに癒しの天使。 「あぁ、俺がお前を幸せにする。絶対にだ」 「なら……不束者ですが、よろしくお願いします」 そのフローラの言葉に会場が沸いた。 何も知らなかった学園の女子生徒達は憧れの男子の電撃結婚に素直に拍手する者、泣き出す者と別れた。 ちなみにユリアは涙汲んで拍手し、マリはただポカンと口を開けている。 そんな中で光輝はフローラを強く抱き締める。 そっとヴェールを捲り上げる。 「フローラ、ありがとう。愛してる」 「はい。私もです。愛しています……私の旦那様」 そうして二人は大観衆の見守る中、そっと熱い口付けを交わす。 それはこれからの二人の変わらぬ愛を誓い合う至高の儀式。 光輝とフローラ。 光輝がこの世界に来て一番最初に出会った女性。 二人が出会って約二年。 遂に二人は結ばれた。
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