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(………はい?なんですかこれは?なんで皆が私の方を見てるんですか?それに……私は確かフィリさんのトイレに付き添って………)
フローラは困惑していた。
フィリに付き添い、一緒にトイレに行ってレイや倫に襲撃された。
そして気がつけば何故か純白のドレスに身を包み、何故か真っ赤なヴァージンロードが目の前から真っ直ぐ延びている。
終点ではシャルルがフローラを見て微笑んでいる。
そして……
「フローラ……行くよ」
薄ピンクの簡素な可愛いドレスを着たフィリがフローラの手を引いて真っ赤な道を進んでいく。
「え、ちょ、フィリさん?何が……」
フローラは髪を結い上げ、ヴェールで適度に隠れた美しい顔は驚きと興奮の色が見える。
フローラもここまでくれば流石にわかる。
己のドレスにヴァージンロード、その先にいるのは………
「光輝さん………」
「ようフローラ、気分はどうだ?」
「あ、はい……ってフィリさん!歩くの速いです!ヒールなんて履き慣れてな――」
フローラはフィリに手を引かれている。
フィリは微妙に早歩きの為、ヒールに慣れていないフローラは着いていけずにバランスを崩す。
―――が
「大丈夫か?」
フローラが転倒する前に颯爽と光輝が駆け付けて抱き止めた。
光輝は漆黒のタキシードに身を包んでおり、何故かオールバックだ。
光輝はフローラを包み込むように抱き締め、そのままフローラの背中に手を回し、膝裏に手を入れて抱き上げる。
誰もが認める美男美女のカップル。
あまりに美しい光景に卒業式の主役だった生徒達や保護者、来賓の者達は皆が息を飲む。
やがて、光輝はフローラを抱き上げたままシャルルの元へと歩き、そして降ろす。
「あの………光輝さん?これは一体―――ング」
フローラは取り敢えずこの状況を説明してもらおうと声をかけるが、光輝に手で口を覆われて言葉を遮られる。
光輝はかなり真剣な表情だ。
様々な言葉を口に出す直前で飲み込み、次々に言葉を探している。
そして、遂に言葉を決めた。
それはシンプルな……幾重にも考えた言葉に比べたらあまりにシンプルな在り来たりな言葉。
ただ、己の気持ちを素直に表した言葉。
「………フローラ。好きだ………愛している。だから………今、此処で俺と結婚して欲しい」
そう言って光輝はフローラの左手を取り、その薬指にシンプルな金の指輪をそっと嵌めた。
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