第六十一章 結魂式

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それから四年が経った。 その間に起こった大きな出来事はヴァンフォーレとフェルシアの統合。 それら二つの国は互いの国土、武力、知識を併せ持つ剣と魔法の新興国【ヴァルフォリア】として世界の歴史に名を刻んだ。 首都は旧ヴァンフォーレ国の王都【ヴィッセル】 城は王城【クロイス城】を修復して使用している。 旧フェルシアの首都のファザードは第二首都として観光名所になっている。 そして、その新しく生まれ変わった国を治める者は―― 「サクラー、サクラー」 「倫さん?どうしたんですか?」 「あ、フローラさん。サクラ知らない?そろそろお昼寝の時間なんだけど見当たらなくて………」 「サクラちゃんもですか?私もハルを探しているんですけど……」 「ハルも?………て事は………」 「…………。」 倫とフローラは互いに顔を見合わせて苦い顔をしている。 ちなみに、【サクラ】は倫と光輝との間に産まれた女の子で、今は四歳だ。 そして【ハル】とは、フローラと光輝との間に産まれた男の子、三歳だ。 今では完全にママ友である倫とフローラ。 二人は同時に溜め息をついた。 そうして場所は変わりクロイス城の屋上、円錐形に伸びる地上八十メートルの所にその溜め息の元凶はいた。 「ほれ、いい眺めだろ?」 「ちちうえー、たかいのやー」 「なんだハル、情けないなあ。サクラを見ろ。意味不明なくらいに目を輝かせてるぞ」 「光輝さん!危ないから早く降りて下さい!」 「なんだよレイ。この程度で危ないわけねえだろ?」 「光輝さんじゃなくてサクラとハルの事を言ってるんです!」 初代ヴァルフォリア国王、その名は神楽光輝。 若干二十二歳にして国王の座に就いたその男は二人の子供を腕に抱き、小さな子供にはトラウマになるかもしれない高さからの眺めを見せていた。 ちなみにレイはサクラとハルの教育係だ。
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