ふまじめでつよいうえはらくん

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  奴は自らに向けられた人指し指をしばらく見つめると、やがて俯き、小刻みに肩を震わせた。   あれ。もしや単に毎日俺を観察していただけだったのか?純粋な気持ちで。俺にばれないように怯えながら、時には顔を赤面させ。ならば、その理由は?   理由なんて、一つしかない。     「悪かったな」     俺の言葉に、奴が…否、彼女…もはや俺の天使、そうエンジェルが顔を上げる。     「私…って、変なのかな?」     顔を赤らめ上目遣いとは、なかなかやりおるなマイエンジェルと称賛したいところだが、あくまでも俺は凡人。普通。平凡。そんなことを望む人間なのだから。その問いにも、答えは一つ。     「君は、決して変ではない。確かに、毎日俺の昼食をチェックしていたのは、びっくりしたけどね。そんなやんちゃでキュートなエンジェルがこんなに近くに居たなんてなあ…。今日は、君に驚かされてばかりだよ。カメラはどこだい?」     思わず飛び出してしまった天使発言。それを誤魔化すかのように、はは、と口から柑橘類の汁が飛び散りそうな程爽やかに笑ってみる。表現が爽やかとは正反対なのはご愛嬌。     「どうして解ったの…?」     俯いていたマイエンジェルが顔を上げた。その表情は、困惑とも歓喜とも取れる不思議なものだった。しかし、彼女の言葉には主語が無い。大事な物を忘れている。もしや、彼女は何か大切な物を失ってこうなってしまったのでは…? そんな妄想を余所に、彼女は小さく言葉を紡ぐ。       「私が、天使だって。」    
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