ふまじめでつよいうえはらくん

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    俺の耳が節穴だかフナムシだかではない限り、彼女は確かに自らと天使と崇めた。何の恥ずかしげもなく、凜として。むしろ、それを見破ってしまった俺を不思議そうに見つめるときたものだ。えーと…     「それは一体どういう…」     天然なんだか、ボケているのか。そんな境界線は彼女の澄んだ瞳を見れば一目瞭然…なんてうまく話は進まないか。     「あなたが見抜いた通り、私は天使なの。」    「…もしかして、俺の昼食を毎日チェックしていたのって…」     俺の中に生まれた、一つの確信。     「そう。私は、あなたを観察することを天界から命じられた。私は天命に背く事無く、あなたを見つめ続けてきたの。」     「頼む、もっと詳しく聞かせてくれ。」     俺がそう要求すると、彼女は少しだけ顔をしかめた。やはり、間違いない。     「えっ…と」     眉間にシワを寄せるのは少し天使性に欠けているぞマイエンジェル。だが少しこの状況を楽しんでいる自分がいる事に気付くと、何だか無性に腹立たしくなってきた。     「自らが天使だと明かすのは、御法度だったか?」     俺が助け舟を出してやると、彼女はすぐに飛び乗った。     「…そう!だけど、あなたが見抜いてしまったから…」     おずおずと遠慮がちに彼女が呟く。全責任を俺に転嫁するかこの適当天使め。しかし、そろそろ支度が整った。     「実はな、俺も天使なんだ。」    
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