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その後も、あたしと蓼谷くんは祭りを回り続ける。
蓼谷くんは何とも無い風に振る舞ってくるけど、あたしの心臓はドキドキしっぱなし。あんな事されるのは初めてだったから、余計に。
その時、フッとりんご飴の屋台にあたしが気を取られる。
その事に気付いた時には既に遅く、一緒にいたはずの蓼谷くんが居なくなっていた。
「えっ嘘っ?!蓼谷くん!?」
辺りを見渡しながら蓼谷くんの名前を呼び続けるけど、返事は一切無い。
それどころか、姿も見えない。
「どうしよう…はぐれちゃった…」
右往左往した後、あたしは携帯を出して空に電話をかける。
けれど祭り効果のせいか、電波が混み合って繋がらない。
「こんな事になるなら、アドレス交換しとくんだったなあ…」
行き交う人込みでポツン…と佇む。
右を見ても左を見ても、やっぱり蓼谷くんらしき人は見当たらない。
肩を落としたその時、
パシッ
あたしの右手を誰かの手が掴む。
「やっと…見つけた…っ」
あたしの手を握ったのは、汗だくの蓼谷くんだった。
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