EPISOdE2.きっかけ。

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空が馬鹿だと、あたしと蓼谷くんは再確認した。 3杯目のかき氷を食べ終わったころ、空は想像通り腹痛に悩まされてお手洗いへダッシュ。 再び残されたあたし達は、2人で祭りを回る事にした。 「あっ射的あるっ!あたしあれ苦手だから、欲しいものあっても取れないんだよねー。」 射的の屋台を見てポツリと漏らす。 射的の景品に可愛いクマのぬいぐるみがあったけど、あたしには似合わないし取れないから諦めて視線をクマから外す。 けれどいきなり蓼谷くんは、その射的の屋台の方へ歩いて行く。 「あきちゃん、欲しいものってどれ?」 屋台の前に着いて、景品の方を指差す蓼谷くん。 あたしは思わず躊躇ってしまう。 「え…べ、別に特にない、よ?」 あたしの答えとは裏腹に、蓼谷くんは屋台のおじさんに500円を渡して、射的の銃を構える。 銃の先端は、あたしが見ていたクマに向いている。 そして、 パァンッ 蓼谷くんの撃った弾は綺麗にクマに当たって、グラついたクマは台から落ちていく。 「凄っ!蓼谷くんって射的上手いんだね!」 あたしがそう言って蓼谷くんの方を向くと、 「はい。あげる。」 蓼谷くんはあたしに落としたクマを渡してきた。 「えっ!?でも、蓼谷くんがせっかく落としたのに…」 あたしが貰えずにいると、蓼谷くんはあたしの手にクマを握らせて 「俺が持ってても仕方ないし、せっかく落としたから貰ってほしいな。 女の子なんだから、少し位欲張っても、ね。」 と言った。 普段から女扱いされてないあたしには女扱いされる免疫が無い。 あたしは蓼谷くんの言葉に顔を真っ赤にして、 「じゃ…貰う…。ありがと…。」 と、貰ったクマに顔を隠すようにうずめる。 今思えば、この時からあたしは、彼の事を好きになりかけてたのかもしれない。 凄く、単純な事なのに。
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