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男は言葉にすることを躊躇している様子で、しばらく黙っていたが、何かを決心したように顔を上げ話し始める。
『あっ、あの!!……こっ、この店では、なんでも望み、望みを叶えてくれると聞いて来たのですが!!』
男は必死の形相で問いかけくる。
『望み?…ですか。ここは見ての通り家具や雑貨を扱うアンティークショップですが』
いきなりの話で内心は驚いていたが、冷静な対応をとる。
『でも!?ここに来れば!!』
男は再び黙ってしまい、絶望的な表情をし、うつむいてしまう。
『そっ、そうですか。…そうですよね。騙されたのか…。そんな上手い話しあるわけないんだ…
終わりだ…終わりだ…』
なかば独り言のようにブツブツと呟き、正気を失ったかのようにうなだれ、おぼつかない足取りで店を出ようとしている。
騙された?他に関わっている奴がいるのか!?
こいつの望みに興味は無いが、少し話を聞くか。
『騙された、とは?誰かにここに来れば望みが叶う、と言われたのですか?』
彼は男に優しく問いかける。
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