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『では、本題に移りましょう。
…っと、その前に』
ポケットから“それ”を取り出し、男に差し出す。
『ん?…契約人』
男は見慣れない肩書きに、困惑した表情を浮かべている。
『申し遅れました。私、望みを叶える契約を扱っています“一宮 凛”と言います』
この名を名乗る事が、またあるとはな。
『イチノミヤ リン、さん……
あっ、私は“武井辰夫”と言います。あの~“望みを叶える契約”とは?』
コホン、と軽く咳払いをし説明を始める。
『この契約は、こちらから望みを叶える為の場や材料等を提供しますので、その機会を生かし望みを叶えていただく、というシンプルなものです』
『それで本当に叶うんですか!?』
疑っているのか、まぁ~仕方ない。こんな事いきなり信じる方がどうかしてる。
武井と名乗る男は、あからさまに不審な顔をしてこっちを見ている。
『はい。ただし、叶えられる望みは一つ、そして契約期間中は、私の指示に従って行動していただきます』
『はぁ、あの契約というからには代償が必要なんですよね?…お金とか』
『…代償?そんなものいりません。私は手助けをするだけですから。ただ一つ、先程も申しましたが、契約期間中は私の指示に絶対に従っていただく、それだけです』
コロコロと表現を変える武井とは裏腹に、不気味な微笑を浮かべ淡々と答える。
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