生きたのは知らない

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外は次第に寒くなってきていた。枯れ葉が都会の中を吹き抜けていく。 「いしやーきいもー。お芋ー。」 「おじさん!お芋3つ!」 「へいよっ」 由美は焼き芋を抱えてスキップして歩いていた。本当に幸せそうな表情をしている。由美は、『緑川探偵事務所』と看板のあるビルへ入っていった。 「緑川さん、どこ行ってたんですか?」 背の小さな男・・・遠藤義人が言った。 「義人くん、焼き芋だよー!」 「あ、美味しそうですね」 緑川探偵事務所は3年前に設立された。緑川由美が設立した直後、助手として遠藤義人が事務所の一員になった。 真面目な遠藤と自由奔放な由美の性格はマッチした。いろいろと功績を残し、緑川探偵事務所は一躍有名事務所となっていった。 「このほのかな甘みが最高!」 由美は、焼き芋を頬張って焼き芋を褒め称える。 「この季節と言ったら、焼き芋ですからね」 遠藤が頷きながら食べる。
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