生きたのは知らない

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「え?あ・・・お腹はすきませんし、空は飛べません。あと透明じゃないです」 「おぉー!」 由美は松野の体に手をすり抜けさせて遊んでいる。紛れもない、幽霊だった。 遠藤は椅子に座って尋ねた。 「それで、依頼というのは?」 「あの・・・私の記憶を探してください」 松野がしゃべり始めた途端、由美は急に真面目な顔になった。 「私は死んだんです。それはわかります。自分の名前は松野布美子ってこともわかるんです」 遠藤が手帳にメモを取る。 「でも、なんで死んだのか・・・どこで・・・いつ・・・そして私の家族や知人は誰で、今どうなってるのか全くわからないんです」 「うーん・・・」 遠藤が唸る。 「情報が少なすぎますね。名前以外、現在情報がない。緑川さん、どうしましょうか?」
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