生きたのは知らない

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葬儀屋から遠藤が出てきた。手に書類を持っている。 「松野布美子さんの書類がありました。1ヶ月前に事故で亡くなってました・・・」 由美は書類に目を通す。写真は紛れもない松野布美子だった。 「死因はトラックにはねられて、全身を強打、ほぼ即死・・・」 「わたし、事故死だったんですね」 運転手は業務上過失致死の容疑で逮捕されていた。書類の下の方には、松野の住所が書いてあった。 「これで大分近づいたわね。ゴールは近いね」 駅まで3人は歩いて行った。夕方の空に、夜の闇にが混ざっていて、紫色をしている。 「お腹空いたー・・・」 3時に焼き芋を食べていたにも関わらず、由美はそう漏らした。 「夜食買ってきます。電車が来るまでには戻りますから」 遠藤は駅の売店へ駆け込んでいった。
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