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お互いに迷子とは到底恥ずかしくて言えず、近くの神社の境内の石段に腰掛けて親達が探しに迎えに来るのを待ち、離れて最初は座っていた。
お互いの手にはヨーヨーと頭の後には狐と漫画のキャラクターのお面を付けて…前方の提灯の灯りをボンヤリ眺める。
「お前名前は?」
俺は沈黙の呪縛から逃れたくて言葉を切り出した。
「春樹…三ノ宮…春樹。君は?」
鈴の鳴くようなキレイな透き通る声で相手は答えた。
「俺は…ぇっ」
「名前忘れたちゃったと?」
「んなわけ有るわけ無いだろ…華燐…有栖川華燐だょ」
暫くまた沈黙…イライラしてまた俺から切り出す。
「女の子みたいな名前だって思っただろ?」
フルフルと首を振り否定しながら何故か口元は嬉しそうに笑っている。
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