狂操曲

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「雨が降るの。」  その口から出た言葉は、抑揚がなく声というよりも唯の音に近かった。  鈴のように澄んだ音。   「血の雨が。」  ベタリと頬が濡れる感触がした。触れて確かめた指先は、ヌルリと紅く染まった。  空から生暖かい液体が、降り注ぐ。 「ねっ、降ったでしょ。」  紅い雨が降り続く。
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