4人が本棚に入れています
本棚に追加
‥廃墟と化したこの建物は、かなり有名な心霊スポットになっていた。
歩いている廊下の窓は、割れていて‥
隙間から入ってくる風で、ズタズタに破れているワインレッドのカーテンがゆっくりと揺れていた。
「うぅぅぅ、わー。本当になんか出そう(泣)。」
カーテンの破れた隙間から覗く、外は、すっかり暗くなっていた‥
僕は、ホラーはあまり得意ではない。
「うぅぅぅ、川崎君ー。川崎君?殴っても良いからーっ。早く出て来てよ?」
「‥殴っても良いって、何?お前…ドM?」
物陰から聞こえてきた声に、僕は、震える両膝を抱えてしゃがみ込んだ。
「悪霊退散、悪霊退散、悪霊退散。」
「悪霊退散って…。オイ、お前、よく見ろ?俺が悪霊に見えるか?」
最初のコメントを投稿しよう!