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†売られたケンカは、買ってやる。†
…それは、青い月の夜だった…。
ザッと風が吹き…
枯れた木々が陰影を落とした地面には…
一瞬にして、木の葉と砂埃が舞った。
…その場所は…
その辺りでも、有名な心霊スポットだった。
夏でも涼しい、その場所は…
この季節…
不良達の恰好の溜まり場になっている。
俺は、ポケット中の手紙を…
クシャリと丸めると…
古い柵に足をかけて登り…
ソレを乗り越えた。
「…ったく、彼奴…。何やってんだよ?」
…事の始まりは、数時間前に遡る。
バイトから帰宅した俺は…
郵便受けで、不審な手紙を発見した。
“お友達の黒田君預かってまーす。ねぇ?返して欲しい?欲しいよね?なら、一人で町外れの洋館に来てね?待ってるよん。”
…ふざけている。
カナ…、黒田 哉兎〔クロダカナト〕とは…
高校に入ってからの付き合いだ。
価値観の同じだった、俺達二人は…
入学式で意気投合。
生意気だと因縁を付けてきた、先輩方を二人で潰したのを最初に…
…ソレから、ずっと二人で連んでいる。
「や…、カナが捕まるなんて…
有り得ないだろ?」
(…最初のケンカの時なんて…
先輩の頭を左足で踏みつけて、高笑いしていたヤツだぞ?)
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