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1863年12月。つまり、しおんという少女が新撰組屯所にやってきて一ヶ月が過ぎたころ。
だいぶ、普通の暮らしや箸の扱いに慣れたころ。
書き上げなくてはいけない資料にひと段落をつけた山南が、お茶を淹れに行こうと廊下を歩いていると、例の少女が庭で野草をじっと見ていた。
「どうかしたんですか?」
しおんという名の少女に声をかけると、ひょっこりと立ち上がって山南のところまで走ってきた。
「ごはんが何から作られてるのか歳に聞いたの。そしたら草っていうから。」
確かに草だが。
山南は、しおんから聞かれた土方が適当に答えたんだと容易に想像でき、あとで教育の仕方について話さなくてはと苦笑した。
「しおん。そんなに気になるならご飯が作られているところを見てみるかい?」
そういうと、にこっと笑って「うん!!」と嬉しそうに返事をした。
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