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包丁騒ぎから数日後、京市中は大晦日の準備で賑わっている。
しかし一足早く酒を飲み始めた浪士たちのいさかいが増え、新撰組の仕事が減ることは無い。
ただ、しおんにとっては初めての大晦日。屯所でやる宴会も大掛かりなものは初めてだ。
年越し蕎麦だのお酒だの、準備に明け暮れ、そして大掃除にも奮闘したしおんは…楽しみにしていた除夜の鐘を前にして、
風邪を引いて寝込んでしまった。
風邪をひいているのではないと、強がっていたしおんであったが、高熱と節々の痛みから泣き始め現在に至る。
これに気づいたのは意外にも、永倉新八であった。
もともと、調子の悪そうなしおんを心配していた面々だったが、年末の忙しさは、さすが師走と言ったところだろうか。
注意して見ることも出来ていなかったので有る。
そこで心配をしていた山南敬助が、ちょうど買い出しの終わった永倉に頼んで様子を見に来たというしだいである。
永倉がしおんの部屋をのぞくと、頭を抱えて泣きながら、うずくまっているしおんを見つけた。
慌てて駆け寄ってみると高熱を発し、そのせいで頭痛を起こしていた。聞くと節々も痛いという。
このことが近藤、土方に伝わり、医者を呼ぶこととなった。
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