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一は軽くため息をつくと
「土方副長、斉藤と藤堂です。」
障子越しにそう言った。
「あ、あぁ。斉藤と平助か。入ってくれ。」
土方の許可が下りたので静かに障子をあけて、中に入ると端のほうに布団がひかれていて少女が眠っている。
「この者が例の異人ですか。」
と少女を遠目ながらに観察しながら問うと、天才剣士とうたわれる沖田総司が一の斜め前までやってきて座りながら答えた。
「そうなんですよ。土方さんは間者だって言うんですけどね?見てくださいよこの折れそうなほど痩せた腕!!こんなんで人殺せると思います?」
と少女の腕をつかむと一に見せるように持ち上げて軽く振った。
「総司」
「なんですか?一君。」
「土方副長のことを馴れ馴れしく呼ぶな。組織の和が崩れる。それにその少女だって情報を得てくることだけを任されている者かもしれないだろう。それに人は見た目ではないとお前が一番分かっているだろう。」
そういうと、そうだそうだと言わんばかりに土方は何度もうなずき、総司は頬を膨らませた。
「なんです?それ。もしかして私が女顔だって言ってるんですか?」
と怒ったようにそう言った。
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