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すると、うるさすぎたのか少女が軽く唸った。
部屋の空気が張り詰めて、皆の視線が少女に向かった。
誰も一言も話さない。
「う…うぅ…。」
苦しそうな声と表情に、皆どうしたものかと考えていると、総司が少女の傍らに座り彼女の手を軽く握った。
すると表情が軽くなり、総司含め部屋にいる全員が安堵の表情を浮かべた。
「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然少女が叫び起き上がった。
さすがの総司も驚いて後ろに下がり距離をとる。
土方も抜刀できるように傍らにある自分の愛刀に手を伸ばした。
少女は肩で息をしており、先ほどまではなかった汗をかいていた。
落ち着いたのか自らの手を見て、顔を触り一言つぶやいた。
「私、死ねなかった」
その言葉に皆、一瞬言葉を失ってしまった。
一人を除いて。
「何が死ねなかっただっ!!人の目の前に突然落ちてきやがって。切り殺せばよかったのか!?」
立ち上がって今すぐ切り殺そうとしながら少女を思い切り怒鳴りつける土方。
そんな土方を近藤と山南が力ずくで座らせた。
「歳、それじゃぁそこらへんの不逞浪士とかわらんよ。」
「土方君。幼い子相手に何やっているんだ。落ち着きなさい。」
なだめられている土方の前に、湯のみが置かれた。
「土方副長。新しく淹れたお茶です。」
そう言ったのは一で、慣れた手つきで土方にすすめる。
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