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「どうしたんですか?しおんさん」
山南が聞くと、
「死ねと言われたけど、死に方がわからない。」
と驚くことを言った。
みんながいっせいに土方の方をみる。
「俺じゃねぇよっ!!言ってねぇだろうが!!むしろ死んでないって言ったのはこいつだろうが。」
「・・・誰に死ねといわれたんだ?」
一が土方にもう一杯茶を淹れながら聞いた。
「いつも痛いことする人。いつもお米と牛乳くれる人。いつも怖い人。」
と彼女がつぶやいて、また空気がはりつめた。
腕組みをしてしおんのゆっくりとした言葉を聴いていた近藤は、立ち上がり障子を開けると女中を呼ぶ。
「あぁ。お菊さん。悪いがあの女の子の怪我の治療をしてくれないかな。ついでに服も着物を着させてやってほしいんだが。」
「あらまぁ。可愛い女の子じゃないの。こんな男しかいない部屋じゃなくってこっちにいらっしゃい。」
女中のお菊がにこやかに笑っておいでおいですると、しおんは立ち上がりお菊のほうに向かおうとした。が、前に進めなくなった。
そのわけは、しおんが平助の着流しの袖をつかんでいたからである。
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