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「大丈夫?」
紅葉は少し前屈みになるように下を向いて貴己の顔色を伺い手を差し伸べる。
「ありがとう秋村さん」
紅葉を心配させたくないのもあるが
男である自分が女の子に助けられたという真実が恥ずかしくて仕方なかった。
痩せ我慢からか自力で立ち上がり制服の汚れを手で叩く。
「・・・・本当?」
心配そうな顔を浮かべ顔を覗きこむ秋村に不覚にもドキッとしてしまった貴己。
「本当本当!バリバリ元気だよ!」
身体をハキハキ動かし無事を伝える。
「ぐふ!」
だが伝えきれなかった。
「・・・・・嘘?」
冷静口調で紅葉は言った。
「うぅ・・・(腹がいたい・・・確かに痛かったがそろそろ痛みが引いてもいい筈だ・・・・なのにまだお腹がヒリヒリする)」
お腹に手を当てた貴己を見て紅葉が気づいた。
「・・・・差々虎の攻撃が痛いの?」
「うっ(バレたーー!学年首席はサイコメトリーだったのか!?あり得ない話ではないな・・・女の子に助けられるは痩せ我慢バレるわ・・・いいとこ無しだよ・・・・)」
ほんのり涙をうかべる貴己。
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