拾弐

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水戸徳川の当主から許可をもらった翌日、俺は土方と山南さんに話を持ちかけた。 「土方に山南さんよ、1つ提案なんだが。」 「んぁ?」 「なんでしょうか?」 「作物、作らねぇか?」 「「作物(ですか)?」」 「ああ。これだけの土地を手付かずのままは勿体ねーだろ?」 「まぁ、確かにな。」 俺達にあてがわれたこの屋敷には、広い道場の他に、畑でも耕せそうなくらいだだっ広い空き地もあった。 こんな空き地、活用しない手はないだろ? それにこの男ばかりの大所帯だ。多少なりとも食費の足しにもなるしな。 それともう一つ、この組織は大半が農民町人の出だから作物を育てる為の知識、知恵は、十二分に兼ね揃えている。 その有り余ったエネルギーを使わないのは勿体無い。 そんなこんなで鴨や、近藤達に進言してみると、思っていた以上に好感触だった。 作物作りは思いの外隊士達の受けがよく、隊員同士の仲もとても縮まった。 それに、少々作りすぎてしまったものに関しては近所の人達にお裾分けをしたりと地域の人々との距離も縮めていった。 「あっ!!新八兄ちゃん!」 「今日は何くれるの?」 「今日は青菜が沢山取れたからな!青菜をお裾分けだ。」 子供達も新選組の奴らとの交流は毎回楽しそうにしているし… ここでは京都壬生にいた時のような雰囲気は感じられず、結果良かったのかもしれないな。
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