第1章

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私はベッドから飛び降りると、勢いよくクローゼットを開け放つ。 制服に手を伸ばしてから、背後を振り返った。 「……千夏」 「なに?」 「着替えたいんだけど?」 「手伝おっか?」 だから可愛く笑うな!! 「なに言ってるの!!早く出て!」 「いーじゃん。俺、彼氏だよ?」 「彼氏だから余計に恥ずかしいんじゃん!!」 千夏を力付くで部屋から閉め出すと、急いで制服に着替えた。 階段を駆け降りて洗面所へ。 顔を洗って歯磨きしていると、千夏が髪を梳いてくれた。 「茜、髪伸びたね」 腰に迄届く長い髪。 千夏に『長い髪が好きだ』って聞いてから、伸ばし始めたんだけど、気付いてるのかな? 「うん、そろそろ切ろうかなとは思ってるんだけど……」 「なんで?綺麗なのに切ったら勿体ないよ」 鏡越しに視線がぶつかる。 千夏は髪を優しく撫でると微笑んだ。 「俺のために伸ばしてくれたんだろ?」 ドクン、と鼓動が跳ねる。 千夏はやっぱり気付いてくれていたんだ。 凄く、嬉しい。 あったかい気持ちに包まれて、漸く身支度を整えると。 玄関に向かう私達を母が呼び止めた。
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