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「ザラード、リードよ」
「なんだ?」
「ん?なんだ?父上」
いつになく真剣な表情の親父。
んー、なにかしでかしたか?
「後は……まかせたぞ……」
そう言うと口の端から紫色のなにかが流れ、部屋から飛び出していった。
まさか!?
「…………親父」
「俺たちの代わりに……」
テーブルに置かれた空になっている鍋。
所々に紫色の何かがへばりついている。
「と、冗漫は置いておいて」
俺は母さん達に向き直る。
その時、「お父さんの犠牲は冗談にいれちゃうの!?」と、驚いていた。
家では日常風景なんだが……おかしいところがあったか?
「リード……」
「ザラードちゃん?」
「どうしたんだよ、母さん」
「母上もどこかおかしいぞ?何かあったのか?」
「……あんた、岩砕波はどうしたんだ?」
「ザラードちゃん、ウィンドスタイルはどうしたの?」
あぁ、そう言うことか。
ザラードに視線を向け頷き合う。
まずは俺からだな。
「すまない母さん。岩砕波は……もう使わない」
「なんですって?」
「俺は落ちこぼれとして3年間修行してきた。岩砕波も完全にものにしようと必死になったさ」
まさかウェイスとの戦いで手に入れた技がファルタリア家の奥義とは思わなかったな。
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