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翌日 放課後
彪兎と葵は屋上に居た。
「昨日のカウンセリングはどうだった」
感情のこもっていない無機質な態度でそう尋ねた。
葵と話す時は常にそうだ。
「今日も行くわ。あと30分程度経ったらね」
「随分熱心だね。まさか死にたくないとは言わないよな」
葵は小さく吹き出した。
「まさか私は死にたいのよ。死ねないだけ」
「なら良い」
彪兎は落下防止用のフェンスにもたれかかり、葵も彪兎から2メートル離れた所にもたれている。
「アナタは自分で人を殺そうとは思わないの」
「思わない」
「何故」
「俺は、血や肉片を見るのは好きだが、それが全てじゃない。悲鳴も断末魔も拷問も然りだ。俺はそういう種類が好きな人間を見るのが好きなんだ。そういう種類の人間が居る事を知ってから、俺は彼らを見る事が好きになった。傍観者なんだ」
彪兎はそう言ってから首を捻り、校庭で部活をしている生徒を見た。
「そうなの」
「嗚呼」
葵は彪兎の返事を聞いてから屋上から立ち去った。
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