From daytime to the night

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少し薄暗く相手の顔がはっきりと特定するには少しの時間が必要なほどの暗さだ。 ジャズが流れており眠くなりそうな空間。 カウンターの前にはいつもと変わらないお客がカクテルをチビチビと味わっている。 そこに常連のお客が店の扉を開けカウンターについた。 「マスター!! ラムのバーディーをくれ!!」 仕事帰りなのか背広を着たその客はやけに陽気にオーダーした。 背広は脱いで椅子の背に掛け、落ち着きなく席についた。 「今日はジン・トニックではないのですね。何か変わったことでも?」 世間話もバーテンダーの大事な技術。 それが俺の学んできたことだ。 初めは何を話せばいいのか見当もつかなかったが、今ではなかなかの口上にになったと自信がある。 「ああ、まあな。 仕事が上手くいってるんだよ。これで妻や子供にもうちょっといい暮らしがさしてやれるかもしれない」 その客は30の半ばほどの年齢で店によく来る常連だ。 苦労話をよく聞く人だ。 それでなんだか落ち着きがなかったのかと一人納得する。 「家族思いなんですね。私も家族を持つようになるなら、家族を大切にしたいです。お待たせしました。ラムのバーディーです」 グラスに注いだカクテルをカウンターの上に滑らす様に客の前に出す。 「そんな大した人間じゃないよ! まったくマスターは口が上手いな!! 今日は気分がいいから違うのを頼んでみたんだよ」
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