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「お詫びと言ってはなんだけど冷蔵庫に水羊羹があ「いただきます。」
雨音の反応速度と切り替えの早さに唖然としたが、そんなことは気にしていないかのように雨音は上機嫌になったようだ………
――――――――――――――――――――
「やっぱり和菓子はいいですね~…………心が落ち着きます。」
俺の分はいらないからとは言ったものの、六個入りのなかなかでかい水羊羹をペロリとたいらげてしまったことにまたも唖然とすることになった………
甘いものを摂取したあとのなんともだらしなく弛緩した顔つきだ………
まったく………幸せそうな表情しやがって。
そんな雨音の表情を見ているとこちらまで顔が緩んでしまった………
「明日からマスターはアメリカですよね?………寂しくなります……」
わざとかはわからないが、弱々しい言葉だった……
「たかが1週間ほどなんだからたいしたことないだろ………今生の別れでもあるまいし。」
あくまで冷静にあしらった………
「つれないなあ………」
俺の反応は面白くないようで、ふて腐れた態度をとっている。
そんなこと言われても………と言う話だ。
「せめてお土産は頼みますよ?」
「国旗のシャーペンでも買ってきてやるよ……」
これから1週間は雨音をおちょくることができないので、今の内におちょくっておこう………
「嫌ですよ!?そんな中学生みたいなお土産は!!………もっと愛のあるものにしてください!!」
愛のあるものか…………
何の気なしににその言葉に考えを巡らしてみる。
俺のイメージで一番に出てきたものは………
「指輪とか………な」
考えているとつい言葉に出してしまった………
「えっ?………」
しまった…………
変な期待を持たせてしまったかもしれない………
「いや…………えっと……」
ぬか喜びさせてしまうと辛いのは相手だ………
自分の言葉には責任をもたなくてはならないのに………
そこで雨音は口を開いた。
「もおマスターそんなに考え込まないで下さいよ!!………冗談なんだから………」
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