セイヤ セイヤ

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プライベートで飲む量なら、とっくにくたばっている。 俺の意識が保っていられるのは、仕事に対する緊張感のお陰だ。 またアイスペールに注がれた水割りを掴み、おしぼりを当てた口に近付ける。 気持ちが悪いのと同時に、胃がパンパンで、もう入らないんだ。 今にもさっき飲んだ分が鼻から吹き出しそうだ。 それでも、飲まなきゃ。 「セイヤ!セイヤ!セイアッ!」 その卓の女と、本指名のホストは、他人事のようにコールと手拍子を繰り返す。 俺より不細工で、口だけ野郎のクソホスト! 泣きながら中学の時のイジメられた経験を、え?このタイミングで?話すワキガ女! ちくしょう、会話が続かないお前達の為に、俺は無様に飲まなきゃいけないんだ! 覚えとけ!覚えとけよ! いつか俺がNo.1になったら鼻から酒を飲ませてやる! 俺が冷たいウーロン割りの鼻水を出しながら、覚悟を決めた瞬間 「ぶへへーい!」 おかしな掛け声と共に、誰かが俺の持っていた容器を奪った。 「シンノスケ」 そいつは俺とほぼ同時期に働き始めた、シンノスケという男だった。  
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