アタルとマリア

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こうやって自分の生活に妄想のマリアを登場させて、時々思い出すが、妄想の彼女ですら俺をいつも叱ってくる。 あれから4年。 俺は何も変わっていない。 俺は天井をボケーっと見ながらつぶやく。 「……そろそろ働くかな」 それから、俺は友達と餃子のネット販売を始め、ガムシャラに働くようになる。 さらに月日は経ち、俺は32歳になった。 仕事が軌道に乗り始めた祝いに、仲間とキャバクラに行った。 そのキャバクラは地域でもグレードが高く、女の子のレベルも高いと評判の店だ。 フリーで店内に入り、仲間と雑談をしながら女の子を待っていると、ボーイが席に来る。 「失礼しまーす ジュリアちゃんでーす」 紹介された女の子を見た瞬間、俺は吸おうとしていたタバコをポロリと落とした。 「……マリア」 そのキャバ嬢は、死んだマリアにそっくりだったんだ。  
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