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メリーさんの話の醍醐味は、何度も電話に出る度に、家の前、家の中、そして最後に本人の背後に――というどんどんと主人公の所在地に近づいてくるという得体の知れない恐怖。
どうせ最後は人を脅かす口調で「貴方の後ろに居るの!」って電話口で呟くんだろ?
バレバレなんだよ!
俺は部屋の窓から外を眺めた。
俺の部屋の位置は調度玄関の真上で、窓から家の前の様子が分かる様になっている。
よく俺は友達を家に呼ぶ時、ここから除いて友達が来たかどうかを確かめたりしていた。
現在、家の前に――人影は無かった。
ジャララララララーン♪
四度目の着信音が鳴る。
俺は窓の外を見ながら携帯の通話ボタンを押した。
ポチッ「もしもし?」
『もしも~し♪
私、ぴぴる♪
今、あなたの家の玄関前にいま~す♪」
玄関の前は、屋根が邪魔で確認できない。
「おい」
切られる前にコンタクトをはかる。
『ん?』
成功。
「鍵、掛かってるぞ」
俺の家族は全員、自分の合鍵を使って家の中に入るシステムになっている。
『お構いなく~♪』
ガチャ!
ツー。ツー。ツー。
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